五行詩【虎落笛】
丑三つ時の 体位変換 虎落笛が 吹く 無言劇
岩崎航 OFFICIAL WEB ベッド上から五行詩に綴る
丑三つ時の 体位変換 虎落笛が 吹く 無言劇
呼吸器の音 常夜灯の光 ささやき声 夜の 体位変換
コンビナートの パイプラインの 接続のようなものだ 自分で入れる 鼻の栄養カテーテル
なかなか入らぬ 鼻への栄養カテーテル こいつ 蛇のように 思えてくる
雪が 降っていて 手鏡を そっと差し出す 母がいて
往診の先生の 聴診器 ひいやりと 冬模様 伝えてくれる
吐くものがないのに 吐いている 吐き地獄 これが宿業なら 吐き切れ
呼吸器の 響く夜の 月が冴え 睡れない眼も 冴えている
星空を 見上げなくとも 観える輝き 月見草は 心に咲いて
新調した車椅子 浮き浮きと 春を 待つかのように 駆け出しそう