五行歌【火】

五行歌【火】 しっくりと/手に馴染む/器になるための/火なのだ/ゆらめきよ


 
 しっくりと
 手に馴染む
 器になるための 
 火なのだ
 ゆらめきよ
 

月刊誌『同朋』2016年5月号に、岩崎航の詩と言葉が紹介されました。

東本願寺出版から刊行されている月刊誌『同朋』2016年5月号の「こころに響いた言葉 第5回」に、岩崎航の五行歌「青春時代と呼ぶには/あまりに/重すぎるけれど/漆黒とは/光を映す色のことだと」と言葉が紹介されました。執筆は小松大谷高校宗教科の宮森忠利さんです。誌面にてぜひご覧ください。

●月刊『同朋』(東本願寺出版)
 http://books.higashihonganji.or.jp/defaultShop/top/CSfTop.jsp

4/30、NHKのETV特集で『生き抜くという旗印 詩人・岩崎航の日々』が放送

本日(4月30日・23時)NHK Eテレの「ETV特集」で、詩人・岩崎航のドキュメンタリーが放送されます。

ETV特集『生き抜くという旗印 詩人・岩崎航の日々』

【放送日】
・本放送(NHK Eテレ)2016年4月30日(土)23:00〜24:00(土曜夜)
・再放送(NHK Eテレ)2016年5月7日(土)00:00〜01:00(金曜深夜)

仙台在住の詩人・岩崎航さん。“生き抜くこと”をテーマに五行の詩をつづる。全身の筋力が衰えていく難病・筋ジストロフィーを患い、生活の全てに介助を必要とする。かつて病を受けいれられず自殺を考えたが、ありのままの自分の葛藤を詩で表現し、人とつながることが生きる喜びとなっていった。しかし東日本大震災を経て、詩を書く意味を見失ってしまう…。生きるとは何か。静かな創作の日々を見つめ、心の世界を描く。(番組HPより)

● NHK Eテレ「ETV特集」2016年4月30日
 http://www4.nhk.or.jp/etv21c/x/2016-04-30/31/23042/2259536/

● NHKドキュメンタリー(番組紹介)
 http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/20/2259536/index.html

(2016.5.7 更新)

五行歌【紙一重】

五行歌【紙一重】 苦を受けること/苦をひらくこと/その異なりに/ぼくは/希望の紙一重を感じている


 
 苦を受けること
 苦をひらくこと
 その異なりに
 ぼくは
 希望の紙一重を感じている 
 

五行歌【必要】

五行歌【必要】 言わないから/必要ないのではないよ/ 必要があるけれど/言えないんだよ/追いつめられているんだよ


 
 言わないから
 必要ないのではないよ
 必要があるけれど
 言えないんだよ
 追いつめられているんだよ 
 

4月8日の『琉球新報』コラム「落ち穂」にて、岩崎航の詩と歩みが紹介されました。

2016年4月8日の『琉球新報』コラム「落ち穂」にて、岩崎航の詩(五行歌)「病と向き合い/堂々生きる/そこから始まる/地平線に/太陽が 昇る」が、これまでの創作活動の歩みと共に紹介されました。執筆は、琉球新報児童文学賞受賞者の長嶺幸子さんです。「自分に向けて書いた詩は結果的に多くの人々の心をゆさぶり、勇気を与え、それはまた岩崎さんの生きる旗印につながっている。希望の連鎖だ。」(コラムより引用)


●『琉球新報』http://ryukyushimpo.jp/

【随筆】「助けて!」という言葉 (岩崎航)

 「助けて!」という言葉  
岩崎航

 私は三歳で進行性筋ジストロフィーを発症し、人工呼吸器と胃ろうからの経管栄養で生活すべてに介助を受けながら生きています。これまでには将来を悲観して自ら命を絶とうとしたり、もう夢も希望もないと家族にもらすこともありました。

 どうしようもなく打ちのめされると、前向きにものを考える手前のところでバッタリ倒れて身動きできない。ただうずくまって嵐の過ぎ去るのを待つしかない。そんな日々を生きたことは、私にとって詩を書く糧になりました。病とともに三七年を生きていますが、その困難さを“乗り越えた”ことはありません。私の中では、乗り越えるというのは完了ではなくて、終わりのない旅です。一つの峠を歩いて、また一つの峠を歩き続けて生きていくことそのものではないかと感じています。

 最近、体の不自由さが原因で耐えがたいできごとがあって、精神の均衡を保てなくなった時がありました。辛くて苦しくて涙が止まらないのです。このままこの気持ちを押し殺したら、自分の何かが壊れると思いました。周りから「どうしたの?」と声をかけられなくても、自分の中から勇気を取りだして、誰かに助けを呼ばなくてはならない局面が人生には度々あるような気がします。

 「助けて!」

 周囲への一切の慮りをかなぐり捨て、親しい人に初めてSOSのメールを送りました。すぐに電話がかかってきました。張り裂けそうなそのままの気持ちを話しながら、電話の先で一心に話を聴いて無条件に苦しみの側にいようとする人の思いやりを感じました。

 話したからといって、苦しみを生む状況がすぐに変わりはしないですが、自分で自分を支えるために着けていた鎧を外すだけで、重苦しかった心が楽になりました。たとえ立場や境遇が異なり、距離が離れていても、人は他者の苦しみの傍らに来て座り、支えになることができるのだと思います。私も誰かにとってのそんな存在になれたらと思います。

 もし「辛い」と言ったら受けとめてくれるかもしれない人の顔が何人も浮かびます。それでも、忙しくて迷惑じゃないかな……。分かってもらえないんじゃないかな……。そんな思いに心を縛られていると、のどもとまで出かかった言葉を飲み込んでしまい声を出せなくなっていました。なにかというと必要以上に自分の気持ちを折りたたみ、辛くても平気な顔をしてその場をやり過ごすことが多かったですが、これからは変えていくつもりです。自分の心を守り、生きるためのSOSを発することに一切の遠慮はいらない。苦しいときは苦しいと伝えて、人に助けを求めていいんだ。そう思えたことは私にとって、静かな革命でした。

 どんな人にも、これからも生きている限り何度も越えていくだろう夜の峠があると思います。私は「助けて!」という言葉をいつでもためらいなく使う勇気を持って、この峠を力強く歩み通そうと思います。

(月刊『潮』2016年4月号「ずいひつ 波音」掲載)

五行歌【花】

五行歌【花】 そうだね/あなたが/花なんだから/くよくよ/いらないね


 
 そうだね
 あなたが
 花なんだから 
 くよくよ
 いらないね
 

五行歌【龍に】

五行歌【龍に】 一枚も二枚も/皮を脱ぎ捨てて/さらに/呑みこめる龍に/なってみせよと


 
 一枚も二枚も
 皮を脱ぎ捨てて 
 さらに
 呑みこめる龍に 
 なってみせよと 
 

五行歌【終わりなき歩み】

五行歌【終わりなき歩み】 大聖堂とは/だれかが建ててくれる/記念碑ではない/心に宿す/終わりなき歩みのことである


 
 大聖堂とは
 だれかが建ててくれる
 記念碑ではない
 心に宿す
 終わりなき歩みのことである 
 


“ だが、建立すべき大聖堂を心に宿している人間は、すでにして勝利者である。”

サン=テグジュペリ(山崎庸一郎 訳)『戦う操縦士』より