五行詩【面白くできる】

[五行詩]五十を前にして 新しいことに 飛び込んで生きる いつだって 面白くできるんだ

五行詩【未知の旅】

[五行詩]人と出会って 人生は 動き出していく 定められた 未知の旅だ

五行詩【イランの詩】

[五行詩]思い煩うな 九〇〇年前の イランの詩に 肩を叩かれ 眠りにつく

五行詩【同じ花】

[五行詩]同じ花を 見ていたくて そんな 気持ちで 眺めている

五行詩【一人】

[五行詩]産まれる時も 死ぬ時も 一人だけれど 命は一人では 生きられない

五行詩【老眼】

[五行詩]同じ世代を生きて あなたと 老眼になったなあ 言い合うの まんざらでもない

五行詩【月】

[五行詩]今、動けない ゆれやまない 私はここに 君の見ている 月を見ている

五行詩【人の名】

[五行詩]私は一生のうち 人の名を 何回呼んで 呼ばれて 生きるのだろう

五行詩【三人きょうだい】

[五行詩]三人きょうだい 僕が一番の泣き虫で いろいろ書きはしますけど 昔から 助けられてばかりなのです

五行詩【お酒呑み】

[五行詩]がらっぱちで いいじゃないか お酒呑みだって かまわない あなたのままで

五行詩【雨粒】

[五行詩]あなたには 雨粒を数えている 少女が 棲んでいる 訪ねていくよ (ニーナシモンの歌 リトルガールブルーを聴いて)

五行詩【息継ぎ】

[五行詩]息を継ぎ 息を継ぎながら歌う 「それがいいの」 すらすら話せぬことが 恵みとなる

五行詩【一隻】

[五行詩]一括りにできない 「私」と 「あなた」で それぞれが 一隻の船なのです

詩【絶えずもっとも必要なのは】

(いわさきわたるの詩) 介護ベッドの上で毎日を生きる人に 絶えずもっとも必要なのは 「やあ こんにちは」って 訪ねてくる 医師であり看護師であり 療法士であり ヘルパーであり 友だちであり、恋人であり、家族であり 暮らしの時間をともにする人だ


●ヨミドクター/岩崎航 連載エッセイ『筋ジストロフィーの詩人 岩崎航の航海日誌』
 緊急寄稿「つなげたい 社会のなかでともに生きる灯火」
 https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160817-OYTEW172295/

五行詩【会えた】

[五行詩]病を抱いたから そして 言葉を書いて 発してきたから あなたに会えた

五行詩【取っ組み合い】

[五行詩]取っ組み合いの 喧嘩ができる ありふれた 兄弟の日々 幸せだった

五行詩【祈っている】

[五行詩]前の元気な自分が どうだったか 忘れてしまいそうだと言う あなたの 健康を祈っている

五行詩【鎧】

[五行詩]鎧は すぐに外れないと 思ってたのに 君の前するすると 衣になって

五行詩【そばには】

[五行詩]空を見上げる 兄弟のそばには やさしいかなぶんが いてくれました わすれは、しない

五行詩【心配。】

[五行詩]心配。 心配。 心配。 雨の雫のように 想われている