五行詩【灯り】

[五行詩]滞ったように 思えても 人生はつねに 動いて 灯りを見ている

五行詩【生きた時間】

[五行詩]涙こぼして 聴いていたのを 思い出す 生きた時間は 失せたりしない

五行詩【待つまでもなく】

[五行詩]待つまでもなく 訪れている 不運すら 何かの始まりを 連れてくる

五行詩【ごまかさず】

[五行詩]ごまかさず 触れた こぼれたままの かなしみを 掬って

五行詩【変わる】

[五行詩]病気になって思う 変わるのは わたしだけでなく あなたも 変わることになる

五行詩【縛られない】

[五行詩]そもそも 宿業なんかないんだよ 何にも縛られたり しない 命が生きるのだ

五行詩【歌う】

[五行詩]歌うことは よびかけること もとめること うけとめること 愛すること

五行詩【指先から】

[五行詩]天井と窓辺を 見ているばかり できないだらけの毎日に この指先から 風光るのが見えた

五行詩【慈しめばよい】

[五行詩]互いの中に生きる 幼子を 慈しめばよい 子のないぼくらの 人生の味わいかた

詩(五行歌 三篇)【三色すみれ】

(いわさきわたるの詩) 「さんしょくすみれ」  さみしさは 風に吹かれて 愛しさは 消えることなく やさしくて   ああ 今、こころ震える 想うこと 霧に立つこと 生きること  かざらない 折りたたまない 春の花 わたしとあなた さんしょくすみれ

五行詩【花】

[五行詩]そうだね あなたが 花なんだから くよくよ いらないね

五行詩【Happy Birthday】

[五行詩]生まれてより 絶えることなき 航海を経て 今を生きてる Happy Birthday

五行詩【今へと繋がる】

[五行詩]すべてが 今へと繋がる言葉だった 先のことなど 微塵も知らずに 生きたというのに

五行詩【透明な壁】

[五行詩]透明な壁があり 互いを守ってくれている それは 遮断とは違う 呼吸のような理で

五行詩【ほのかなふくらみ】

[五行詩]この先にも 続きがあるなと ほのかなふくらみとして 感じられる それだけで始まれる

五行詩【石ころ】

[五行詩]波に洗われてきた 石ころの まるみといびつさが 心のようだ 朝焼け色の標しがある

五行詩【風景】

[五行詩]ひとりでしか 見つめられない風景が ひとりきりでは 見ることができない風景が 眼のまえに広がる

五行詩【赤子のいのち】

[五行詩]えいえいえい 手を伸ばしてくるその力 ぐいぐいぐい 腕を引きよせるその力 赤子のいのちは力づよい

五行詩【幹の心は】

[五行詩]生きようと 向かえる気持ちは 芽吹きのよう 炎に焼かれた 幹の心は生きている

五行詩【万葉人】

[五行詩]おもいきり恋う おもいきり悼む おもいきり笑う おもいきり望む 万葉人の健やかを浴びて