五行詩【小さな手】

[五行詩]褒められるのが うれしくて 小さな手を合わせた その幼心は 踏みにじるまい

五行詩【ここで転んだら】

[五行詩]ここで転んだら 一人では 立ち上がれなくなる それが 恐かったのだな

五行詩【私だった】

[五行詩]つかまえなきゃ いけないのは 夢ではなくて 私だった どこにもいなかったから

五行詩【ジャムの瓶】

[五行詩]お店屋さんで ジャムの瓶を落としたとき 壊れることの 悲しみを知った 四歳くらいだったか

五行詩【わるふざけ】

[五行詩]わが子でも 人前でおとしめるような 扱いを してはダメだよ 親のわるふざけで

五行詩【軽装の舟】

[五行詩]ガチガチに 構えるばかりじゃ 生きにくい 軽装の舟に乗りこんで 思いきり、行こう

五行詩【朝顔】

[五行詩]あなたは 誰にも妨げられない 必ずや 蔓は自在に伸びゆく 朝顔の花

五行詩【生き抜くって】

[五行詩]人から声かけてもらうの ただ、待っていたら どうにもならないんだ 生き抜くって そういうことだったんだ

詩【新しいところ】

[詩]広瀬通り経由 仙台駅前行き それ以外のバスに 乗ることは あのとき冒険だった  青葉通り経由 仙台駅前行きの バスに 一人で乗れるひとが 大人に見えた  あれから三十年も生きながら ぼくは新しいところへ 踏み出すことに なにかしら 臆病になっていたのではあるまいか

五行詩【活字】

[五行詩]おもしろい そう思ったとき 活字が 向こうから 親しげに歩み寄ってきた

五行詩【新参者】

[五行詩]いつ、どこでも 人は新参者として はじめて 目のまえに 現れてくるものだ

五行詩【二次元孤独】

[五行詩]ゲーム依存症に なりかかって 分かったこと 二次元孤独は おもしろくない

五行詩【完了ではない】

[五行詩]乗り越えるというのは 完了ではない 一つの峠を歩き また一つの峠を 歩き続けていくことだ

五行詩【まちがえられたということは】

[五行詩]まちがえられたということは たよりないからではなくて あなどられたわけでもなくて えらそうに見えなかったから それは、あなたの強みです

五行詩【大海原へ】

[五行詩]ぼくの手が すこし震えているのが わかった 大海原へと 今、漕ぎだしていく

五行詩【ねこやなぎ】

[五行詩]ねこやなぎの もふもふのような てざわりの はるをひかえる ふゆのよさ

詩【思いあたること】

[詩]子どものころ いじめられたと言う人は 多いけけど いじめていたと言う人は なぜか少ない 臆病からの同調でも いじめはいじめだ みんな、思いあたることはないか ぼくは、両方あるよ

詩【小さな子】

[詩 小さな子]呼吸器つけたボクのこと ちらりと見る子 真っすぐ見る子 何しているのと尋ねる子 てんで見ない子 みんなきらきら子どもたち

五行詩【声高らかに】

[五行詩]今の自分から逃げずに どうかこれからも 声高らかに 詠ってください それがあなたの詩です

五行詩【いつだって】

[五行詩]いつだって、何が起こるか分からない でもそれは 悪いことだけを意味していない うれしいことにも会えるだろう とかく小さく 決めつけないでおこう