五行詩【何周しても】

[五行詩]何周しても 最後は戻ってくる 希望を持つしか ないのだな 未明のなかで

五行詩【だんだんよくなる】

[五行詩]今は どこにも きざしはないが 長い目で 見ているんだ だんだんよくなる

五行詩【やけっぱちの心】

[五行詩]手に取ったら ますます寂しくなるんだよ やけっぱちの心 しずかに テーブルに置け

五行詩【軛など】

[五行詩]くびきなど じつは一瞬で外せる 目が覚めた あとの 景色の自由さに

五行詩【影】

[五行詩]それは、病魔 怯えが見せていた影だ やけっぱちの 嵐を しずかに治める

五行詩【ゴング】

[五行詩]こういう時は あなた 怒らなきゃいけないよ ゴングを鳴らし 切り返すのよ、と

五行詩【絶大な勇気】

[五行詩]絶大な 勇気を振るわなくても 生きられるように 誰もが 穏やかに 生きられるように

五行詩【「待って」】

[五行詩]あなたの 「待って」 殉難者になり前しか見てない わたしを 目覚めさせたよ

五行詩【勇気は】

[五行詩]どうしようも なくなった時 勇気は やむにやまれぬ処から 自発するのだ

五行詩【火】

[五行詩]しっくりと 手に馴染む 器になるための 火なのだ ゆらめきよ

五行詩【貫こう】

[五行詩]思いを貫こう 人と自分に 気兼ねしているうち 一生が 終わってしまう

五行詩【弱ったとき】

[五行詩]弱ったときは 弱っていても いいんだ 強がる弱さを そっと手放す

五行詩【たとえ何ものも】

[五行詩]たとえ何ものも 自らを 生きることの 芯までを 焼き尽くすことはできない

五行詩【賭けます】

[五行詩]母の祈りを聴いた あなたの 大丈夫だと言った 心に わたしは賭けます

五行詩【勇ましくはなかった】

[五行詩]決意の言葉は 勇ましくはなかった 一筋の 涙こぼして 静かに生まれた言葉こそ

五行詩【魔法はない】

[五行詩]先に何が起こるか 誰にも分からない 魔法はない あるのは 二人の祈りだけだ

五行詩【水場】

[五行詩]水場に 連れ出すことしか できない 否、連れ出すことなら できる

五行詩【信号】

[五行詩]今、どこにいるの どうか信号を送って 見失わないよう 微かでも どうか送ってほしい

五行詩【最もの表れ】

[五行詩]生きていることの 最もの表れ あたたかい どうして 求めずにいられよう

五行詩【夜間飛行】

[五行詩]深夜1時まで 詩を書いていた ぼくの 行き先はあなた 夜間飛行