五行詩【「また来ます」】

[五行詩]「また来ます」と言って 来なかったなんて よくある話ですけど 気をつけて 本気で聞いている時もあるからね

五行詩【稲妻】

[五行詩]俺 今 何やっているのだろう 問いが出てくる 稲妻

五行詩【なんとうたおう】

[五行詩]わあああああー 叫ぶことが できないときの 苦しみを なんとうたおう

五行詩【生きていられるのかな】

[五行詩]そうなっても 生きていられるのかな 大丈夫と いうけれど いうのだけれど

五行詩【底なしの淋しさ】

[五行詩]こんにちは ありがとう すみません 何か話をしたくても それしか 言葉が出てこなかった 底なしの淋しさだった

五行詩【辿る】

[五行詩]こう書いてあるから こう言っているから それだけでよいのか 自ら生きて 辿らなければならないのに

五行詩【苛烈】

[五行詩]苛烈になるのは 君にまだ 熟さぬところが あるからだ 後ろから言われる

五行詩【違い】

[五行詩]勘違い 間違い場違い 見当違い そんなことさえ 生きている

五行詩【重み】

[五行詩]起こったことを ないことにはできない その重みを 抱きながら 自分はどう生きるのか

五行詩【やみのひかり】

[五行詩]そう思うしか なかったことを 責めないで いい やみのひかりとなる

五行詩【デフォルト】

[五行詩]受け入れるのが デフォルトで それが 唯一の処世術と なっていた頃

五行詩【悲痛】

[五行詩]ただ 生まれてきただけで 憎まれるという 悲痛を 見つめている

五行詩【1本の道】

[五行詩]1本の道しか 見えないから 1本の道になる 他の道を 探さなくなる

五行詩【迷信】

[五行詩]自分のことは 自分が 最善の判断ができる それは 悲しい迷信だった

五行詩【立ち去ること】

[五行詩]腹に据えかねても 屈辱を感じても 動けない僕は自分から この場を 立ち去ることはできないんだよ

五行詩【前置き】

[五行詩]恥じることでは ないのに 恥ずかしいのですがと 前置きした そのことが卑屈である

五行詩【子どもあつかい】

[五行詩]いつまでも 子どもあつかいされる 厭わしさ やりきれなさと かなしき怒りと

五行詩【見守る】

[五行詩]ただ見守ることは こんなにも 勇気と愛情が 必要だったのだ 今、わが母を思う

五行詩【表札】

[五行詩]あるいは 人の立場をあらわす 表札に 囚われすぎて いるからさみしい

五行詩【震えるほどに】

[五行詩]まさに決断の連続で 生きていることが 怖いような 震えるほどに いのち燃えるような